Apr 1, 2011

デンドロビュームの4月の管理


4月になりました。
長い冬を終え、気温も高くなり、無加温栽培の家庭においてもつぼみが日増しに膨らみ、続々と美しいデンドロビュームが開花してきます。
越冬温度の高かった家庭では新芽が本格的に伸び始め、遅いところでも4月の後半にもなると、ほとんどの家庭で新芽がスタートし、次のシーズンに向けての肥培管理に、やる気が出てくる時期でもあります。


デンドロビュームの4月の管理を簡単にまとめてみました。



置き場所に付いて


温暖な気候になり、夜間の低温対策の必要がなくなり、管理がとても楽になります。
これまで同様、1日を通して長時間、太陽光線がよく当たる明るい窓辺などが最適ですが、昼間は外気温も高くなり、閉めきった室内では晴天の日には思わぬ高温になることがあります。窓や入り口を開けて通風をはかるよう注意します。

デンドロビューム4月の置き場所
明るい窓辺が最適です


狭い場所でたくさんの植物を育てている場合は、風通しが悪くなったり、株元への光線不足の原因になるので、狭い場所に密集しないよう間隔を開けてやります。


それぞれに光線が当たる間隔を保ちます


暖かい日には日中、戸外にだしてしっかりと光線に当ててやるのもよいでしょう。
夜はまだ寒いので忘れずに室内へ取り込みます。





 光線について


新芽の生育には光線が重要です。明るく温かい場所へ置くだけでなく、株元や新芽にしっかりと光線が当たるように、間隔を保ち、明るい方向へ鉢を向けてやる気配りも欲しいものです。
まだ新芽が出ていない場合も株元に光線を当てることで新芽が早く出るよう促します。



膨らみかけた新芽



既に3センチほど伸びた新芽





 このように密集した管理では良い生育が期待できません。
根張りが悪かったり、光線不足で細く頼りない茎に育ってしまいます。



となりの株と葉が重なるほどの密集状態



株元が暗く環境が悪い



 このような環境では、もやしのような色の薄い元気のない新芽になってしまいます。



光線不足により色の薄い元気のない新芽


ゆったりと置き、株元までしっかり陽が注ぐよう置くことで、元気な新芽が出てきます。
新芽が出る時期にも大きく影響しますので、密集した場所での管理を避け、普段から株元まで明るく、風通しの良い環境を心がけます。



株元までしっかりと光線が当たります



太くしっかりとした新芽


※冬期に開花中、暗い場所で管理していた株を急に直射光線や高温の場所に移すと、強い直射光線で葉焼けを起こしたり、高温障害になることがあります。そのような場合は、徐々に強光線に馴らしてやり、風通しも良くしてやります。

気温が高くなりそうな日はレースのカーテンやブラインドなどを利用し、光線を調整することで、温度管理をします。窓を開け風を取り入れるとさらに効果的でしょう。





水やりについて


休眠から覚め、新芽が伸び始めるため、水の要求量も増えてくるため、徐々に水やりを増やします。
置き場所の環境(明るさ、風の有無)や株の状態(葉、茎の数)、植え込み材料(水苔、ヤシガラ)、鉢の材質(素焼き、プラ鉢)によって大きく異なりますが、平均して4~5日に1回程度でよく、まだ多量の水やりは必要ありません。
水が本当に不足すれば茎の表面に皺が出ます。真夏の高温時ではありませんから、やり過ぎは禁物です。根傷みの原因になりますので、くれぐれも注意したいものです。







一見、よく乾いたように見える鉢も、表面を触った程度では、乾き具合は分かりにくいものです。
慣れるまでは鉢を実際に抜いてみるのが良いでしょう。根の状態も把握できます。
健全な根は白くきれいな色をしています。





乾いているようでも、鉢の中は意外に湿っているものです。
特に大きな鉢で陶器鉢に植えられている場合は、非常に乾きにくいので、水のやり過ぎに注意します。



根傷みや根腐れの早期発見にもつながりますので、鉢を抜いて様子をみることは初心者の方にとって水やりの判断の確実で有効な手段です。



一見、乾いているように見えますが



表面からは想像できない湿り具合です



 


肥料について


夜間の最低温度が12から13度くらいになってから施肥を始めます。(10度以下での施肥は避ける)
液肥(洋らん専用液肥、ハイポネックス)を所定の濃度、倍率で月に2から3回程度、水やりの代わりに施肥。
よく根が張った株には発酵済みの油粕も有効です。水やりの度に溶け出して効果を発揮します。

デンドロビュームの肥料(油かす)
http://yamamotodendrobiums.blogspot.jp/2011/05/blog-post_17.html
 
少苗のような来春開花予定のない株や春先の早い時期の施肥であれば マグァンプK などの長期間肥効が持続する肥料の施肥も有効ですが、開花サイズの苗の場合、7月以降に株の状態を見て、窒素肥料を打ち切りたい場合には、施肥量を調整しやすい即効性の液肥(洋らん専用液肥、ハイポネックス)や、不要な場合は鉢から取り除くだけで良い油粕のほうがデンドロビュームには向いています。


ここでは粒状の油粕を水で溶いて使用しています


まだ、花が咲いていて開花を楽しんでいるという場合でも夜間の温度が保たれているのであれば、施肥を行います。その場合は油粕ではなく、まずは液肥を与えるとよいでしょう。




病害虫について


気温が上がり、水やりが増えてくる頃から、病害虫の心配が増えてきます。
まだ、夜温がそれほど高くないこともあり、水やりを急に増やすと低温多湿により斑点病の発生があります。これは秋口にも同様の発生が多く見られ、葉や株元が濡れたままで、朝方冷え込むような低温多湿の条件が整うと、いわゆる黒斑病が発生しやすくなります。

水やりは夕方までに乾く量を心がけ、通風を良くし環境を整えてやることも重要です。

新芽が溶ける軟腐病も暖かくなるこの時期から増えてきます。  軟腐病の原因は細菌で、特に新芽のような組織の軟らかい部分に発生しやすいので注意します。やはり明るく風通しの良い場所へ置くことで、病気が拡がるのを防ぐことが出来ます。

気温が高くなると、これまで発生が見られなかったダニやアブラムシが発生します。
葉の裏など、特に葉の付け根の蜜の出る部分に注意して観察します。
戸外で管理するようになると、ナメクジの侵入にも注意します。






植え替え


夜の気温が13度から14度くらいになったら、植え替え作業をしても大丈夫です。
花の咲き終わった株で根が鉢の外にたくさん溢れていたり、新芽の出ている側に根の伸びてゆく余裕がなくなった場合は、植替えをしてやります。


新芽が鉢の縁まで迫っています


植替え、鉢増しは毎年行う必要はありません。
鉢に余裕がある場合はもう一年同じ鉢で作ります。2~3年に1度を目安にします。



新芽の伸びるスペースが十分ある鉢


 4月になったからといって、植替えを急ぐ必要はなく、5月から6月ころまでに済ませば問題ありません。 花が咲いている場合は花が終わってからで構いません。

それぞれの株の状態に合わせた管理を心がけます。