春から秋にかけてデンドロビュームに発生する葉の病気に炭そ病があります。
円形模様の斑点が次第に葉全体に拡がり、黒褐色に変わっていきます。病斑が拡大すると同心円状の紋をつくることから容易に判断しやすい病気です。病斑の発生部位から先は枯れてしまいます。ひどい場合は葉全体が枯死し落葉します。
高温多湿の条件で発生しやすいことから梅雨の時期から秋頃まで確認できます。
気温の高いこの時期に植物の活性が下がったときに出やすい病気です。また、古い葉や茎などにも出やすい病気です。
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典型的な炭そ病の発症例 |
ノビル系デンドロビュームに一般的にみられる病斑を集めてみました。
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デンドロビュームの炭そ病の発症例 |
発病した部位から先は枯れてしまうため、生育期の葉に症状が現れた場合は生育にも大きく影響します。
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デンドロビュームの炭そ病の発症例 |
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デンドロビュームの炭そ病の発症例 |
下の写真は多湿下で発生したためか、やや軟化したように見えるため、発生初期は軟腐病や疫病と非常に間違えやすい。
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デンドロビュームの炭そ病の発症例 |
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デンドロビュームの炭そ病の発症例 |
ここまで病斑がひろがると、他の葉や株への感染を防ぐ意味からも、早めに葉を取り去ったほうが良い。
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デンドロビュームの炭そ病の発症例 |
温室で確認できたのは、ほとんどが古い茎(バックバルブ)についた葉で、活性も下がり葉の役目もほぼ終りに近いものと思われます。
発生を防ぐためにはまずは栽培環境を整えてやることも大事です。密集しておくことを避け、風通しの良い場所に置いてやります。株元に落葉した枯れた葉などは見つけしだい取り除き、次の発生を抑えることも重要です。
一度発生した株には病原菌が潜んでいる可能性があります。翌年も発生しやすいため、健全な株とは隔離することも必要でしょう。
広範囲の発生の場合には、ダイセン、ダイファー、トップジンMなど有効な殺菌剤があります。