Jul 21, 2011

ヨトウガの飛来

7月もはや下旬になりました。
台風一過とはいきませんでしたが、お昼からは晴れ間も見え天気も回復してきました。

ここ数日、温室内でヨトウガが確認できます。

温室で確認できるのはヨトウガの仲間ハスモンヨトウが殆どですが、温室をほぼ開放している夏の間は外部との仕切りがありませんので、温室内だけでなく、周囲の畑などからの飛来も当然考えられます。

ヨトウガの幼虫の発生サイクルは春と秋の2回あります。つまり今飛んでいるヨトウガは春に発生したヨトウムシが成虫になったもので、その後、交尾産卵を行って、秋に次の世代の幼虫が発生するわけです。秋の幼虫は自然界では蛹の状態で寒い冬を冬眠により過ごしますが、運悪く温室内で蛹になった場合は冬に温室内で発生して、大切な花や蕾を食べられる事にもなります。

対策としては外部からの飛来もありますので、温室内を殺虫駆除するだけでは効果がありません。
山本デンドロビューム園の農場では毎年フェロモントラップを仕掛けてやります。

メスのフェロモンでオスのハスモンヨトウをおびき寄せ、捕獲するのです。オスを減らすことで交尾する機会を奪い、産卵数を減らす効果があります。



写真の中は一晩トラップを吊るした成果です。 容器に入っているのはすべてハスモンヨトウのオスです。使用しているフェロモン剤はハスモンヨトウのメスのフェロモンに似せた匂いを出すものであり、他の種類のヨトウガには全く効果がないのだそうです。




通常は容器に水を張って溺死させると良いのですが、結果はかなりの目を覆う惨状ですので、ここでは僅かな殺虫剤の粉末を底に撒いておきます。




別の場所に仕掛けた容器にもたくさん捕獲できています。



なんとも寂しいハスモンヨトウのオスたちの様子ですが、作物を栽培している者にとっては大変役に立つトラップです。