Sep 12, 2010

デンドロビュームの植え替えにご注意

「すぐに植え替えしてもいいですか。」
山本デンドロビューム園で初めて苗をご購入いただくお客様からよくお問合せいただきます。

4月から6月の植替えの適期であれば「大丈夫ですよ。」とお伝えしますが、9月以降は「来春までその鉢のままで管理してください。」とお伝えしています。

ビニールポットから溢れた根をご覧になって心配になって問い合わせいただくようですが、ポットの外にまで溢れた根は元気な証拠です。
原産地のデンドロビュームは枯れ木に着生しますのでもともとは地面に生えていません。
空気を非常に好む性質ですので、鉢植えのデンドロビュームが水のやり過ぎで根傷みを起しやすいのはこのためです。

ポットの外に伸びたデンドロビュームの根

これから秋から冬へと休眠期に入っていきますので、根の動きも鈍ってきます。植え替えをしても新しい根がそれほど伸びないまま冬を迎えることになります。
温室をお持ちで冬の間もある程度の温度を保てる環境であれば別ですが、温室のない一般家庭ではこれから春までに新しい植え込み材料に根を張らせるだけの温度と日数が足りないのです。

温室のない一般家庭では水やりの失敗で根を腐らせてしまうのが一番多いのもこれからの時期です。

植え替え後のデンドロビュームの根がどのように伸びていくか、山本デンドロビューム園の苗で根の動きを見てみましょう。


植え替え直後の鉢の中の様子


7.5cmのポットに植え替え直後の苗は根の周囲が新しい植え込み材料で覆われて、根がまったく見えません。

植え替え後、約1ヶ月経った鉢の中の様子

約1ヶ月後、やっと新しい根が見えてきました。


植え替え後、約2ヶ月半経った鉢の中の様子


約2ヶ月半後、かなり伸びています。デンドロビュームの根は鉢の内側に沿って巻くように伸びていきます。



植え替え後、約4ヶ月経った鉢の中の様子


約4ヶ月後、見事に根の張った状態ですが、上の写真は5月の上旬にに植え替えをした苗の現在の様子です。生育期の植え替えで写真の状態まで約4ヶ月かかるわけですから、これから休眠期を迎えるデンドロビュームの植え替えが如何に難しいかがお分かりいただけるでしょうか?


今もしも、お手元のデンドロビュームの植え替えで迷っていたとしたら来年の春まで待ったほうが良いでしょう。
充分に根の張った状態で冬越しをすれば、水やりの失敗の心配が無く、管理がずっと楽になるはずです。


植え替えは地域にもよりますが、夜間の最低温度が12~13℃以上になってから、4月から6月にかけてが最適です。
花が咲いている場合は花が終わってからにします。

それまではビニールポットに植えた状態なので安定が悪いので安定のいい、別の鉢にそのまま入れての管理をお薦めします。

来春植え替えに使用する鉢などに入れておきます

育苗トレーも大変便利です。


安定がよく倒れにくい

 ホームセンターや園芸店で分けてもらえる事もありますので、尋ねてみるとよいでしょう。