Aug 6, 2011

まもなく山上げ栽培が本格化

一般家庭では通常3月~4月、5月にかけて咲くデンドロビュームは、温室で加温栽培することにより無加温栽培よりも半年近く株の生育を早め、夏までに茎を充実させることが出来ます。

茎が充分に完成した株は、夜間の最低気温14℃以下の低温に合計の回数が25回くらい当たると、花が咲く準備ができます。
しかし、この温度で管理するためには関東以西の平地であれば10月下旬頃まで待つ必要があります。
このため、標高の高い山間部で通常よりも早く低温処理をして花芽分化を促すため8月のお盆過ぎ頃より、順次デンドロビュームを山へ移動して山上げ栽培を行います。
その後、再び持ち帰った鉢を加温すると年末の開花に間に合うわけです。

12月の歳暮シーズンに店頭に並ぶデンドロビュームの大半はこのような手間をかけた後に見事な花を咲かせているのです。

簡単な作業に思えますが、温室数棟分ものたくさんのデンドロビュームの鉢をトラックへ積み込み、数時間掛けて山へ移動する作業を夏の間何度も繰り返すことはデンドロビューム生産者にとってかなりの重労働です。




前置きが長くなりましたが、今年もそんな山上げ栽培の時期が近づいてきました。




まずは3ヶ所ある山上げ場の一つ、鳥取県と兵庫県の県境にある標高1310mの山、扇ノ山まで岡山市内から4時間近くかけてやってきました。


頂上に近い場所からは鳥取市内が一望できる



見上げると標高が高いため、空と雲がとても近くに感じます。

時折、雲の中にいるかのような霧雨状の雨が降ることも





ただ植物を運ぶだけと思われがちですが、実は山上げ栽培の都度、遮光のための屋根や棚を作る必要があります。






毎年使うのに何故と思われるでしょうが、標高1300メートルのこの場所は積雪量が半端ではありません。多いときは積雪が2メートルを超えることも。そのため、山上げ作業が済むと、すべてのハウスや棚をを壊して、倒さなければなりません。







そのままにしておくと、雪が解けて動くことでこのように直径6センチを超える鉄の支柱も雪の重みで曲がっています。




山道で見かけたカーブミラーもご覧のようにグニャリと。
あちこちでこのような光景が見られます。


至る所に道端に傾くカーブミラー



直射光線による葉焼けから植物を守る遮光ネットとデンドロビュームの鉢を並べるための棚は必ず必要です。

低い位置、或いは地面にシートを引いて直に置くと、大雨で泥水を被ったり、付近に住むイノシシに鉢をひっくり返されたり、食べられたりするのです。

日中の気温はやや低いが日差しは非常に強い




慣れた作業とはいえ、設営には2日程要します


この準備が終わって、やっとデンドロビュームの山上げが可能になるのです。
夏から秋にかけて大型トラックで何十往復も長時間かけて通うことになります。

山本デンドロビューム園ではこの扇ノ山の他にもまだ2ヶ所の山上げ専用の圃場があります。

これから益々忙しい日が続くことになります。