May 25, 2011

植え込み材料にバークを使用する

「植え替えにバークを使っても大丈夫でしょうか?」
こんな質問のお電話を頂いたので、バークを使った植え替えについて投稿します。


まず結論から言うと問題なく使用できますし、ベラボン(ヤシガラ)にくらべても乾きも良いので、根腐れの心配がないため水やりでの失敗が少なくなるでしょう。胡蝶蘭やシンビジューム、カトレアの植え替えではバークの使用は一般的ですね。

すでに他のランにバークを使用して余っていたり、バークの使用に慣れているという場合には植え替えに使っても大丈夫です。
デンドロの場合は根が細いのでバークの使用サイズは小さめを使用します。


使用する鉢はベラボン(ヤシガラ)同様にプラスチック鉢、あるいは陶器の鉢になります。
周囲に流しこみ、少し固いくらいに植えないと鉢の中が締まらず、株が安定しません。
鉢の周囲にしっかりと隙間なく詰め込みます。
植え替え直後は水を控えますが、バークの場合は水苔植えやベラボン(ヤシガラ)植えに比べて、水はけが極端に良すぎるので、乾き過ぎへの注意が必要です。



乾き過ぎが心配な場合は、ベラボン(ヤシガラ)を混ぜ込んでみるのも良いでしょう。
バーク単独よりも、よく締まるので、しっかりと植えこみ出来ます。





この使い勝手の良さそうなバークですが、デンドロビュームの生産において、ベラボン(ヤシガラ)の使用が多いのには理由があります。

以下の写真は、数年前に試験的に行ったベラボン(ヤシガラ)とバーク(ニュージーランド産)をそれぞれ使用した植え替えの比較です。
生育期である5月上旬に7.5cmポットに植え替え後、3ヶ月たった8月後半に生育状態を確認したもの。
比較しやすいように先に透明ポットに植えたものを黒いビニールポットを被せて育てました。
黒のポットを抜いてみたところ。
どちらも、白い根が見えます。
新バルブが良く太ってきていますが、ベラボンで植えたほうがやや色も濃く茎も太くしっかりしている印象を受けます。

バークを使用


ベラボン(ヤシガラ)を使用



ビニールポットを抜いて比較してみます。
まずはバークで植えたものです。根腐れもなく、きれいな真っ白の根がまわっていますが、約3ヶ月栽培した割には根の量はやや物足りない印象です。


バークを使用

こちらはベラボン(ヤシガラ)を使用したもの。バークで植えたものに比べて根の量が圧倒的に多いのがわかります。

ベラボン(ヤシガラ)を使用




比較からはどちらもきれいな根が確認できるのですが、ベラボン(ヤシガラ)植えのほうが根の量が多く、また新バルブも太く、色も鮮やかで、しっかりしており、株元から孫芽とも言うべき、新しい芽の確認できる株もあります。

バークを使用すると思った以上に乾いてしまうため、 鉢と植え込み材料の隙間に水が残りにくく、肥え切れや水不足が生じるようです。ベラボン植えに比べて枝分かれした細い根が多いのも乾きやすいためではないでしょうか。

このように見てみると、バークはその水切れのよさから、鉢の中であっても着生ランの自然の状態に近づけてくれるような感じでしょうか。
秋から冬にかけて、水やりの失敗を繰り返すような方には比較的失敗の心配も無く安心して使えるように思えます。反対に夏の高温時には乾き過ぎないように注意が必要です。



植え込み材料に何を使うかは使い慣れた材料や、好みの問題もあります。しかしながら、ベラボンとバークの比較試験の結果からみるとデンドロビュームと相性が良く、生育が良いのはベラボン(ヤシガラ)のようです。ベラボン(ヤシガラ)をうまく使いこなせたほうが、デンドロビュームの生長に良い結果がみられそうです。