Aug 15, 2011

約50年前のデンドロビューム生産

資料の整理中に出てきた写真です。
棚に整然と並べられたものが何かわかりますか?


実生苗の生産の様子

約50年前の1960年ころの写真ですが、細長い筒状のものはすべて試験管です。
この中には品種改良のために交配されてできた種が播かれています。
当時の育種ではこのようにチューブと呼ばれる細長い試験管を横向きに寝かせた状態で培地を作り、播種、発芽させて実生苗を育てていました。



メリクロン技術のないこの当時、実生の生産が中心でした。やっと現れた4倍体のデンドロビュームを育種して次々と優良実生苗が生まれた時代です。デンドロビュームの営利栽培としては切花生産が中心の時代です。


弊社資料によりますと、日本国内では1964年ころより4倍体のデンドロビュームの切花が市場に流通し始め、2倍体品種に比べ圧倒的に花保ちがよく、色彩が鮮明で豪華な点が市場で認められ年々需要が倍増したとあります。


またこの当時、既にデンドロビューム世界的育種業者としての地位も確立され、1960年から1970年の間は国内の栽培業者のみならず、海外からの受注が殺到し、大量にJY系デンドロビュームとして実生苗が海外へ向けて出荷された時代でありました。


輸出風景1970年頃

写真の後ろに高く積み上げられた箱にはすべて実生苗が梱包されています。
主にアメリカ、メキシコ、オーストラリア、アルゼンチン、ブラジル、台湾への輸出が多かったとあります。


この頃、実生として輸出された弊社のデンドロビュームが現地で大切に育てられ、数十年ぶりの再開を果たすこともあります。それはとても嬉しい瞬間でもあります。