Jan 31, 2012

犯人は誰?

1月も今日で終わりです。

毎日、寒い日が続き、一般家庭ではデンドロビュームは休眠状態で病害虫の心配がない時期だと思います。

しかし、加温栽培をしている温室の中ではそうはいきません。
温室の中は日中25度前後になること通常で、本来活動の鈍るべき害虫が温室内で活発に活動します。

一番厄介なのがこちら。

これから花開こうとする蕾に大きな穴を開けた犯人は一体誰でしょうか?







これではまともな花が楽しめませんね。


蕾を割ってみると、 中にいたのはヨトウムシ(夜盗虫)です。

小さな時につぼみの中に潜り込んで、中身を食べるのです。
そして中身を食べ尽くしたのちに外に出てきます。
出てくる時はかなりサイズアップしています。



ヨトウムシといえば夏に生育中の葉を食べる害虫として、何度か紹介しましたが、温室の中では冬も例外ではありません。

この時期は柔らかい花やつぼみを好んで食べるようです。


これは、ナメクジにも共通して言えることですが、植物体の柔らかい部位がお気に入りのようで、他の部位よりも優先的に食害していきます。

茎よりは柔らかい葉を食べますが、同じ葉でも新芽が出ていれば柔らかい新芽を好んで食べます。
また、花芽が膨らんでいれば、どんなに高い場所でも花芽を食べるために茎を登ります。
さらに蕾が膨らんでいれば、その中に潜りこんで、外敵を気にすること無く安心してつぼみの中身を食べるのです。
そして、花が開花していれば、好みの花を次から次へと渡り歩き、柔らかい部分だけを食べて移動するのです。





ヨトウムシの被害は特に花の時期には商品性を大きく損ねるため、避けたいところです。




こちらは潜り込まれはしなかったようですが、幼虫が小さい時に表面を齧って傷ついたために、つぼみの萎縮を起こしています。

これでは開花しても良い花は期待でません。



開花中の花も被害に。
やはりリップや花粉周りが集中して狙われます。柔らかくて美味しいのでしょうか?




必ず花粉の辺りが食害にあいます。





主な駆除法は一般家庭では見つけたらすぐに捕殺するのが最も有効です。
夜盗虫というだけあって、夜行性で日中はあまり活動しないため見つけにくいですが、
食害痕や糞を見つけたときには葉や花の裏をチェックしてみましょう。



ヨトウムシに関する情報はこちらの投稿記事もお読みください。