Nov 2, 2010

ナメクジの被害

ナメクジの被害といえば春先に新芽や根の先を食べられたりを思い浮かべると思いますが、動きの鈍るこの時期に、戸外で管理中のデンドロビュームの鉢の裏や鉢底に動かずじっと潜んでいたナメクジを鉢と一緒に室内に取り込んでしまうことがあり、気づかぬうちに被害をもたらします。

今まで戸外でデンドロビュームを栽培していた方は室内に取り入れる前に鉢の裏、株元など良く確認してから取り込むようにしましょう。


基本的にナメクジは、デンドロビュームの一番柔らかくて美味しい部分を好んで食べるのですが、特にこれからの時期であれば、せっかく出た花芽や、蕾や花が被害にあう恐れがあります。
油断すると花芽が食害にあって全滅していることがありますので注意が必要です。


花芽を食べられた痕


温度に影響されない温室内のナメクジは一年中活動していますので、我々プロの生産者も特に注意する害虫の一つです。

  • 春は柔らかいデンドロビュームの新芽を集中的に食べます。
  • 夏は暑いので鉢底や、株元に潜んでいますが、夜になると盛んに活動し、根の先を食べたり、遅れて出てきた孫芽を食べます。
  • 秋には低温に当てて膨らんだばかりの花芽を上から下まできれいに食べられてしまいます。
  • 冬の開花時期には他の部位には目もくれず花や蕾を鉢から鉢へと渡り歩いて食べ歩きます。 


    こちらも花芽を食べられています

    このように年間を通してナメクジによる被害を受けます。
    中でも花芽や蕾、花をを食べられてしまうと、春から新芽を伸ばして大きく育ててきた努力が水の泡ですね。



    下の写真は9月の終わり頃のもの。
    新芽も花芽もない時期には少しでも柔らかい部分を求めて、他に比べて柔らかいであろうバルブの頂上までわざわざ食べに登ってくる程です。
    そこまでしなくともと思いますが、この写真からも柔らかい部分を非常に好むことが分かります。

    バルブ(茎)上部の未熟で柔らかい部分を食べています






    さて、ナメクジの防除としては以下の3点が考えられます。

    ナメクジの好む環境に置かないこと
    多湿を好み有機物の多いところを好むので付近に雑草、枯葉を放置しない事が重要です。
    戸外での管理の場合は地面に鉢を直接置かないことで、ナメクジからデンドロビュームを遠ざけます。
    鉢底にはネットを敷いて、ナメクジの鉢の中への侵入を防ぐことも効果的です。


    食害を発見したら、早期発見、捕殺
    ナメクジによる食害痕や糞を見つけたら、早期に発見し、捕殺することが一番有効です。
    株元や鉢の裏を念入りに探します。
    鉢の中に卵を産み付けられると駆除に大変困ります。

    ナメクジの糞


    鉢の裏に糞がよく見られる

    ナメクジが這った痕には粘液状の皮膜が残っていることもあります。
    これでヨトウムシ等、他の害虫の食害痕と区別することができます。
    付近には必ずナメクジが潜んでいます。


    ナメクジの這った跡には粘液状の皮膜が残ります



    害虫の種類によって食べ方が違うのでナメクジと判断しやすい



    被害が大きく手に負えない場合は農薬の使用も考える
    卵を産み付けられて大量に発生するなど手に負えない場合は、市販の誘引剤や殺ナメクジ剤を使うことも考えられますが、雨や水やりにより薬剤が流れてしまい効果が期待できない場合もあります。
    天候や、水やりのタイミングをよく考えて使用することが重要です。
    また、家庭で使用する場合は薬剤が人やペットに付着しないよう、用法を守って使用します。
    室内では使用できないものもありますので注意してください。