2012/07/09

10年ものの解体作業

先日株分けの基本をお伝えしました。

さて、今日は実践というわけではありませんが、研究温室に昔からある古株の株分けに挑戦したいと思います。

ノビル系デンドロとは姿、特徴が違いますが、ニューギニア原産のスペクタビレの系統のデンドロ交配種です。







寝かせて何をしているかというと、あふれるほど伸びた根に隠れて見えませんが、実は陶器鉢に植わっています。
この中に7.0号の陶器鉢が隠れていて、その外側に根が あふれている状況なのです。

10年以上植え替えをせずに放おって置いたせいでとんでもないことに。

ハンマーで根を痛めないように鉢を割りながら、そしてカッターナイフで鉢の外に溢れた株の切り分けをしながら、慎重に作業開始です。


塗りの掛かった陶器鉢を割るときは表面のガラス質が飛び散るため、布で覆ってから作業しましょう。

 鉢を覆っていた株も剥がし終えました。


根に張り付いた陶器鉢も何とか取り外しに成功です。



でも本当に大変なのは鉢を取り除いてからでした。

作業しやすいよう、半分に割ることにしたのですが、 新芽は外側だけでなく、中心に向かって内向きにも好き放題に伸びているため、刃物の切り分ける方向に苦労します。







しかも、株元の堅さとびっしりと張った根の量に解体作業は難航しました。
カッターが何度も刃こぼれを起こすほどです。

 新芽をダメにしてしまう失敗もありました。


そしてやっとのことで、半分に切り分けることが出来ました。



ここから古い根を取り除いて、更に細かくバルブを整理していきます。
通常の鉢増しと違う点はこの部分です。古い株の株分けの場合は この古くなって傷んだ根や腐った根を取り除くことが重要です。
古い根とは明らかに腐敗しているものはもちろんですが、根の機能を果たしていない部分のことを指します。


株元部分には古い根の塊が

下の2枚を見比べてください。
根の断面の中心部分に緑色の芯が見えるでしょうか。ランの本当の根はこの中心柱と呼ばれる部分なのです。緑色をした部分はしっかりと生きています。


緑の部分を中心柱と言います

反対に中心部分に芯がなくがスカスカなものは機能していません。

中心部は茶色で機能していません



この古い部分を残しておくと せっかく植え替えた新しい鉢の中で再び、腐敗、植え込み材料の劣化を引き起こす原因となります。



また、古く見えても、途中から新しい根が伸びていることもあるので判断は慎重に。

新たな根が展開しています




株分けの結果です。
大小取り混ぜて20以上の株に分けられました。








株分けの場合、バルブを大きく傷つけることもありますので、分けてすぐ植えてしまうのではなく、傷口を乾燥させる意味からも翌日以降に植えてやりましょう。
乾燥させる場所は風通しの良い日陰です。決して直射光線の当たる場所に放置しないよう気をつけます。


そして鉢に植える際は、一番に根の量を考え、バルブの本数、鉢とのバランスを考えて鉢サイズを決定します。




 植えてしばらくは直射日光を避けて、涼しい場所で管理。水のやり過ぎに注意です。


実際に株分けを行うと想像以上に体力を使います。
皆様の家庭では、すべて植えると場所も取り、管理にも困りますね。
栽培に慣れて、株を残すことに自信があれば、すべての鉢を植えるのではなく、小さくてもしっかりとした鉢のみを残すのが良いでしょう。