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2012/05/31

カタログと違う?

お客様から、カタログと違う花が咲いたので交換して欲しいと写真を添えて、お手紙をいただきました。
写真を拝見しますと、品種は間違いないのですが、すぐに気がつくことがありました。
ちなみに品種はオリエンタルスマイル‘ファンタジー’ 。
花色がオリジナルに比べてとても薄いのです。



開花直後ということで満開でないことも理由として考えられますが、やはりこの時期ですから気温が高いこと、光線が強すぎることが原因ではないかと考えました。
肥料成分の過多、欠乏も花色に影響しますが、この時期、夜温も高く、日中の高温、強光線下で咲く花はいい色で咲いてくれません。




問い合わせの品種とは異なりますが、今の時期の花が実際にどう違うのか比較のために今日、栽培場で咲いているデンドロビュームの花を見つけて撮影してみました。
本来の花色と比べてください。

まずは、ロイヤルスマイル‘ロイヤルスマイル’ 
上がオリジナルの花色で、下が今日栽培場で開花していた花です。 



 花弁の色が薄く、花型もいまいちです。




こちらは、ラッキーハート
同じく、上がオリジナルの花色で、下が今日栽培場で開花していた花です。 
ラッキーハートにいたっては、リップも小さくまるで別の品種にしか見えません。
蕾が十分に大きくならないうちに開いてしまったのが原因でしょう。





このように開花時の高温や強光線は花色に大きく影響します。
しかもこの時期に咲くということは、開花に要する日数も短く、低温でじっくりと時間をかけて開花させることが出来ないので、余計に色褪せた感じになるのです。

以下は昨年の投稿ですが、温度環境が花色に与える影響についてカントリーガール‘ワラベウタ’を実際に開花比較して記載しています。


この時期に良い色で花を咲かせるのは難しいですね。
お客様には、品種に間違いがないこと、色が薄くなった原因についてご説明し、ご理解いただきました。



2012/03/30

窓辺の温度

岡山市の日中の気温はぐんぐん上がり今年最高の20度になりました。
昨日よりも5度も高いのです。

10日前までは堅いつぼみだった事務所のワラベウタも徐々に開花してきました。



でもちょっと光線が強いようです。



窓辺の温度計も一時は28度近くまで上がりました。
閉めきった窓辺はこれからの時期は要注意の置き場所です。





しっかりと開花したら、温度変化の少ない場所で鑑賞すればよいのですが、何度かお伝えしているように、開花中の極端な高温、急激な環境の変化は蕾の黄変や花の矮小化、発色不良の原因になります。

少し光線が明るすぎるようですので、ブラインドの角度を少しだけ変えてやります。
するとたったそれだけで25度程度に落ち着きました。
光線の強さが気にならない程度であれば、少し窓を開けて換気をしてやるだけでも、効果的で有効な対処法のひとつだと思います。







既に花が終わってこれから新芽を伸ばそうと言う生育中の苗であれば、今の時期ならまだ高温障害の心配はありません。新芽も大きく動き出す時期です。これまで以上に水を要求してきます。やり過ぎは禁物ですが、冬の管理から徐々に切り替えつつ、通気に気をつけてしっかりと光線に当ててやりたいものです。

2012/03/27

鮮やかな発色のためには

グリーンサプライズ‘ウインディー’の花が開花しました。
花弁のグリーンが鮮やかで見本写真以上に 美しいと感じました。



その逆で、ご自宅での栽培において本来の花色が出なかったり、花は咲いたが見本写真と違うと感じることがありませんか?

デンドロビュームの花色は開花時の栽培環境に大きく影響しています。

純粋に花色、花型だけを追求すれば、昼夜の温度差を保ちつつ、低温でゆっくり咲かせた方が花型の整った、色鮮やかな大きく良い花になるのです。

ところが一般家庭での栽培においては、早く花を楽しみたいという一心でつい開花期の部屋の温度を高く保ちすぎているようです。

今の時期なら、日中の温度が高すぎたり、光線が強すぎたり、お部屋の暖房で夜間も温度か高いままというご家庭も少なくないでしょう。
昼間の高温は花色に影響があるだけででなく、花の大きさにもおよびます。

下の写真のように同じ品種であっても、冴えない黄色の別の花のように見えてしまうかも知れません。


我々のように営利で鉢物を栽培する者にとっては、低温でじっくりと時間をかけて開花させるわけにはいきませんが、少なくとも昼夜の温度差の維持、日中の高温、強光線を避けることは常に気にかけて栽培をしています。


以下は昨年の投稿ですが、温度環境が花色に与える影響についてカントリーガール‘ワラベウタ’を実際に開花比較して記載しています。

開花時の環境に注意します
http://yamamotodendrobiums.blogspot.jp/2011/02/blog-post_15.html



2011/11/14

花芽分化に一番大切なことは

「デンドロビュームは寒さに当てないと咲かない。」
これが趣味栽培の方を一番迷わす表現ではないかと思います。

また「秋に」などと書いてある場合は、初心者にはハードルが高すぎます。

決して間違いではありませんが一言つけ加えて欲しいのです。
「バルブ(茎)が十分に成熟したデンドロビュームは」と。



このブログでは事あるごとにバルブ(茎)の充実が開花に重要であることを何度も書いています。
いい加減読み飽きた方もいらっしゃるでしょう。

しかし、今だにそこで躓いていらっしゃる方が多いのも事実です。



1990年代後半に開発されたヒメザクラやスプリングドリーム、シーマリーと言ったデンドロビュームは花芽分化に低温処理を必要としない系統として脚光を浴びました。

下の写真は通常管理で見事な花芽をつけたヒメザクラ‘サノック’。
バルブ(茎)は見事に充実していることがわかります。低温には一切当たっていませんが、この花つきです。

通常管理で見事な花芽をつけたサノック


最近の育種の進んだ弊社作出種ではヒメザクラやスプリングドリームのような系統でなくとも、花芽分化に必要な低温の要求性の非常に少ない品種が数多く開発されています。



写真は今日、育苗温室内で撮影したもの。
すべて来年用の苗です。いずれも僅か20センチ程度の高さしかないバルブ(茎)に花芽がしっかりとついています。
バルブ(茎)の太さから四倍体の系統であることがわかります。


低温処理は全くしていません。夏以降も最低温度が16度を下回らないように管理してあります。










どの株もバルブ(茎)がよく充実していることに気が付かれるでしょう。

このような新しい品種でないにせよ、花芽をつけるコツが寒さの時期や程度ではなく、バルブ(茎)の充実にあることがわかるはず。



秋に外に置いておく必要はありません。それは室内でも十分寒さに当てることが出来るからです。

初心者の方は、秋はデンドロビュームを早めに室内に取り込んで、バルブ(茎)の成熟に当ててやるほうがきっと良い花を咲かせてくれます。




ちなみに、ここで紹介した花芽は来年に備えて、全部掻きとってしまいます。
せっかくの花芽ですが、来年用の新芽に養分を集中させるためです。


2011/10/25

本当に茎は充実していますか?

北海道にお住まいの方から電話で問い合わせがありました。

「外は寒いのに、いつまで経ってもデンドロビュームの花芽が出てこないのだけど。」


聞けば、夏からずっと外で管理しているそうです。
既に朝晩は10度以下の気温になっているそうです。いつまで経っても花芽が出ないとのこと。


茎は本当に充実していますか?秋からの管理は正しかったのでしょうか?



下の写真は山上げ場で昨日撮影したものです。

いずれも花芽が見事に膨らんでいるのがわかるはず。
しかも、これらの株は山上げをしてから、わずか22日しか経っていません。



コメットキング‘アカツキ’

ヒメザクラ‘サノック’


スイートピンキー‘モモコ’


ここでは連日14度以下になり、毎日確実に低温をカウントできる状態です。
つまり山で低温に当たり始めてたった22回ではっきりとここまで花芽が確認できるのです。
十分に茎が充実していれば、その日から確実に花芽分が起こり、僅か20回程度の低温でも、加温しなくてもここまでの反応が見られるのです。
※実際の栽培管理では25回以上低温に当ててやります。


冷やす温度が低ければ良いのではありません、長い期間冷やせば花芽がつくわけでもわけでもありません。低温に当てるまでの温度管理が重要です。中途半端な茎の充実では花芽はついてくれません。


 是非、以下の記事を参考にして下さい。

寒さに当てる?室内に取り込む?

http://yamamotodendrobiums.blogspot.com/2010/10/blog-post.html

2010/10/03

寒さに当てる?室内に取り込む?

前回の投稿記事で10月のデンドロビュームの管理について書きました。

ここでは秋の生育の最終段階に一番重要なバルブ(茎)の状態について、充分に成熟しているかどうかの判断や室内に取り込むタイミングについて詳しく説明します。


デンドロビュームは夜間の最低気温が14度以下の低温に延べ日数で20から25回くらい当てることで花芽分化を起こし、花が咲く準備が出来ます。
一般的には10月から11月にかけて戸外で管理して室内に取り込むことで 、花芽分化に必要な低温に当てることが出来ます。
関東方面では11月の中旬までには充分な回数が当たるようです。

ところがこれはデンドロビュームのバルブが充分に成熟していることが前提のはなしです。
 
もしも、14度以下が続くような時期になった時にバルブが充分に成熟していない場合、そのまま寒さに当たってもその部分には花芽分化が起こらないため、花芽が付かず不揃いな花付きになります。
お手持ちのデンドロビュームを一律に戸外に出しっぱなしにするのではなく、夜間の最低気温が15度前後になる頃に、充分に成熟した株と、成熟の遅れた株を分けてやり、成熟の遅れた株は室内に取り込むなど株の状態で判断する必要があります。


デンドロビュームの花付きが良くない原因の多くは、低温の回数が足りないのではなく、低温に当てる前のバルブの成熟不足にあるのです。



では、どのように判断すればよいかスイートピンキー‘モモコ’を見本にバルブ(茎)の状態を見てみます。
茎の色、先端部の状態を比べてみてください。


完熟状態の株
はちきれんばかりに丸々太ったバルブです。
しっかりと太陽光線に当たり飴色に近い状態です。いつ寒さに当てても構わないほど成熟した良い株です。
バルブの先端を指で摘むと硬くしっかりと成熟していることがわかります。

指で摘むとバルブの上部まで硬く成熟しています。


バルブを包む葉がはちきれそうな程成熟しています





ほぼ充実し、まもなく完熟状態の株
先端部は丸く太っています。バルブの色はまだ緑ですが濃すぎることもなく、これからしっかりと太陽光線に当ててやれば色も褪せてきて完熟状態になります。
指で摘めばバルブは先端部までほぼ硬くなっているのがわかります。
このまま戸外で管理していても大丈夫です。秋の低温に当てることが出来るでしょう。


バルブに張りが出て飴色に色褪せれば完璧です


色はまだ緑であるがほぼ完熟に近い





もう少しで完熟しそうな株
バルブの完成まであと一息です。バルブ先端部分がその下のバルブの色よりやや緑が濃いのがわかります。
先端部は指で摘むと少し柔らかい感じがします。
外の最低気温がまだ17度前後であればこのまま戸外で管理を続けても大丈夫です。これから太陽光線にしっかりと当ててやり、なんとか外で寒さに当てることが出来そうです。

もしも外の最低気温15度前後に下がっているようであれば、夜の間だけでも室内に取り込むなどして生育を早めたほうが良いでしょう。
デンドロビュームの生長は昼と夜の積算温度に影響されますので、夜の温度が2~3度違うだけでもこの最後の成熟期間で生育に差が出ます。







まだまだ未熟な状態
完熟と言うには程遠い状態です。早急に室内に取り込む必要があります。
秋に戸外で寒さに当てることは考えず、すぐに室内の明るい場所で管理します。
冬に室内の寒さでも充分に低温処理できますので、あわてる必要はありません。
バルブをしっかりと成熟させることを最優先で考えます。


先端部は柔らかく、とても花が咲く状態ではありません。


まだまだ未熟で細すぎます



やっと止め葉らしきものが見えてきた状態



ここまで写真を使ってバルブの状態の違いを見ていただきましたが、このバルブの成熟末期に戸外での管理を続けるか、室内に取り込むかの判断で来春の花付きを大きく左右します。
判断に迷う場合は早めに室内に取り込んだ方が無難です。

室内の明るい場所で確実にバルブを完熟させてやれば、その後は冬になってから室内の夜の低温で必要な寒さに当てることは可能です。成熟が遅れて1月、2月に低温に当てても構わないのです。

何がなんでも必ず秋に戸外で寒さに当てることが正しい管理ではありません。
むしろ、 バルブの見極めが難しい初心者の方は秋には早めに室内に取り込んでバルブを完成させて、冬に室内で低温に当てるような簡単な管理で栽培に望まれたほうが失敗もなく確実に花を咲かせることが出来ます。



今まで、花付きが不揃いだったり、全く付かない、夏にぼけて咲く等、花付きが悪くて困っている方は今年の秋はいつもより早めに室内に取り込んでみてはいかがですか?