2011/01/31

花の大きさについて その2

昨日の続きで、花の大きさの表現について説明してみます。


現在、弊園で開花しているデンドロビュームの中で大きさを比較してみました。
すべて、十分に成熟した株に着花した、標準的な開花サイズであると思われる花を選びました。

クリックで大きな画像を見ることが出来ます
1.スーパーチャンス‘マジック’、2.ビクトリーロード‘トレジャー’ 、3.メダリスト‘ミカド’、4.ウェーブキング‘アケボノ’、5.シルキーハート‘エンプレス’、6.スイートピンキー‘モモコ’、7.コメットキング‘アカツキ’、8.シーマリー‘スノーキング’9.カントリーガール‘ワラベウタ’、10.ヒメザクラ‘サノック’、11.イエローソング‘キャンディ’、12.ファンシーエンジェル‘リセ’ 、13.スプリングドリーム‘アポロン’、14.スノーフレークの系統(個体名不詳)、15.スプリングバード‘倉敷’、16.サンタナ‘キャナリー’、17.サニーホープ



上段から
極大輪、大輪、中輪、小輪というように分けてみました。
あくまでも弊社のデンドロビュームの中での基準であり、他社様の品種やその他の系統のラン全般を仕分けするものではありません。


極大輪 花径10センチを超えるもの。※この場合の花径は横径のことです。
右から、1.スーパーチャンス‘マジック’、2.ビクトリーロード‘トレジャー’ 、3.メダリスト‘ミカド’

大輪花 花径7センチを超えるもの。
右から、4.ウェーブキング‘アケボノ’、5.シルキーハート‘エンプレス’、6.スイートピンキー‘モモコ’、7.コメットキング‘アカツキ’

中輪花 花径4センチを超えるもの。
右から、8.シーマリー‘スノーキング’、9.カントリーガール‘ワラベウタ’、10.ヒメザクラ‘サノック’、11.イエローソング‘キャンディ’、12.ファンシーエンジェル‘リセ’

小輪花 花径が4センチを下回るもの。
13.スプリングドリーム‘アポロン’、14.スノーフレークの系統(個体名不詳)、15.スプリングバード‘倉敷’、16.サンタナ‘キャナリー’17.サニーホープ


弊社の花サイズの表記についての基準がお分かりいただけたでしょうか。
それぞれの品種との比較によって花の大きさが想像いただけるかと思います。

しかし、前回お伝えしたように、肥培管理に大きく影響されるものですから、あくまでも成熟した株が開花した場合の標準的なサイズの指標としてご覧ください。
各サイズの境界線は非常に曖昧であり、13番のアポロンなどは本来は中輪花と言っても良いのですが、具体的な数値で区切ることで今回は小輪の部類に収まりました。

今回、花の大きさの表記を考えるに当たって、具体的なサイズを明記することは個体差の関係から難しいと言っておきながら、大まかな大輪、中輪等の4段階に分けることすら実は非常にその境界線の線引きが曖昧で困難であることがわかりました。


しかしながら、その品種の本来の花の大きさをわかりやすくお知らせすることにより、皆様の栽培の参考となり、生育、開花が適正であったかどうかの指標にもなると思いますので、今後は肥培管理の条件なども考慮に入れて、そのようなことも正確にお伝えしつつ、品種情報の記載に取り組みたいと思います。
より分かりやすい表示や画像の添付で皆様にお伝えしようと思います。




「大輪と書いてあったのに咲いてみたら大輪じゃなかった。」 と言われないよう、花を咲かせる前の段階からデンドロビューム栽培に必要な情報、知識を正確に、分かりやすくお伝えして、皆様に良い花を咲かせていただきたいと思います。




ご意見があればお知らせください。
info@dendrobium.net

2011/01/30

花の大きさについて その1

先日、お客様から花の大きさの説明が分かりにくいので、具体的なサイズを表記して欲しいとのご要望をいただきました。

以前から何度かこのようなご指摘をいただくことがあるのですが、ノビル系デンドロビュームの場合、カトレア等と違い一輪の花サイズを細かく競うものでもないであろうと考えているため、創業以来より、カタログでも在来の品種との比較、また弊社作出種との比較において、小輪系、中輪系、大輪系、極大輪、あるいは巨大輪との記載がほとんであります。
実際に、1960年代の初期の弊社カタログを参考に見てみると、花径のサイズ記載は一切無く、大輪、巨大輪などの記載が通常で、むしろ眼を引くのはリン数についてや一節の花数、花型についての詳細の記載であります。

これは、4倍体の個体の発見により一気に花の大型化が進んだノビル系デンドロビュームに取っては、花の大きさよりも、花色や花つき、花梗の長さ、花型を改良することが急務であり、また改良により、観賞価値が高くなったことが重要なセールスポイントであったことが考えられます。


当然メダル審査や展示会の場においては花径も重要な要素でありますが、デンドロビュームは 特に、集団で開花するために、花の大きさは樹勢や肥培管理の影響が大きく、苗を販売するに当たっては、皆様のお手元で開花したときのサイズにバラつきがあるのではという、懸念もあります。
問い合わせ等で皆様のご自宅のデンドロ写真など拝見する機会がありますが、標準サイズに達していない場合も多く見られます。


良い例がありましたので比較してみました。

Den.Victory Road 'Treasure'比較

Den.Victory Road 'Treasure' です。
ご自宅用開花鉢として販売中の左の花の花径は約8センチ程度ですが、これも本格的に咲く翌年であればさらに大きく咲きます。右の鉢が一年多く作り込んだ株です。
これは、販売中の左の株がまだ植え込みから2年程度の未熟なものであり、品種本来の花のサイズに開花させるだけの勢いがないと言えます。


Den.Victory Road 'Treasure'比較

 並べてみると一目瞭然です。


Den.Victory Road 'Treasure'比較

大きさはひと回り程違います。花の形も右のほうが整っていて大変美しい。

花径11センチを超えるDen.Victory Road 'Treasure'

このように採寸してサイズを明記することは簡単なのですが。この花のサイズのみを表記して販売することは難しいと思います。

花の大きさの違いは、単純に栽培年数のみによって影響されるだけでなく、肥培管理によって、大きく影響されます。サイズを明記するならば、すべての条件が整ったよい状態での開花であればと注意書きが必要になるでしょう。

下の写真はすべてスイートピンキー‘モモコ’です。

標準サイズで7センチ以上の花を咲かせます(右から2番目あたり)


根を痛めたり、光線、水、温度、肥料等、ちょっとした肥培管理の違いでこのように全く別の品種のような花の大きさで咲くことになります。



通常販売させていただいている「1作開花サイズ苗 」の説明でもお客様のもとで1作していただいた後に開花する苗と説明しているのですが、花つきが良いよう、改良してあるため、ほとんどが苗のサイズで 開花することが多いように思います。その時点で開花する花は本来の花径に達しない場合が殆どでしょう。

このあたりの説明が不十分であるとお客様が混乱されると思いますので、より詳しい説明が必要であると思いました。

では、極大輪花、大輪花、中輪花、小輪花とは具体的にどのくらいの大きさを表現しているのでしょうか。

次回は実際にいろいろな品種の花の大きさを比較してみることにします。





2011/01/29

商品を追加しています

楽天で販売しているご自宅向け開花鉢物の評判が良いため、品種を追加しました。



オリエンタルスマイル‘ファンタジー’とスーパーモデル‘プラチナ’の2品種です。

オリエンタルスマイル‘ファンタジー’は在庫が余り無いので売り切れ必至と思われます。



オリエンタルスマイル‘ファンタジー’4.5号鉢
花は少ないですが数輪ついていますので、 花も楽しめます。何よりも株がしっかりしているので次シーズンの開花も間違いありません。





スーパーモデル‘プラチナ’4.0号鉢
鉢サイズは4.0号と小さいですが、花も楽しめる上に、すでに新芽も出ていますので、今年の生育も楽しみです。




価格設定が苗よりもお買い得感があるからでしょうか。

生産、販売する側とすれば、鉢物は残ってしまうと非常に困るわけです。
苗はもう一作すれば立派な鉢物になったり、開花株になるため困らないのです。

そのかわり、数量や期間は限定されるのですが、よろしければこの機会をご利用ください。
これを機会に、デンドロ栽培にチャレンジするのも良いと思います。
まずは花をじっくりと楽しんでから、次の開花へ挑戦してみてください。





お問い合わせはこちらまで
info@dendrobium.net

2011/01/28

Den. Mellow Heart 'Yellow Mind'
メロウハート‘イエローマインド’

Den. Mellow Heart 'Yellow Mind'    

(Den.Yellow Magic x Den.Okayama Gold) 2010年登録

メロウハート‘イエローマインド’ 



花弁全体が目に鮮やかな黄色系の優良品種。
リップ奥には鮮やかなオレンジの目が入り、弁先には、わずかに紅斑を彩る。

Den. Mellow Heart 'Yellow Mind'  


新バルブにも良く咲き、花つきも抜群であるが、基本的に遅咲き傾向にあるので無理して早い時期に低温に当てるよりは、秋までにじっくり茎を太らせて、昨年伸びたバックバルブに咲かせるつもりで管理したほうが、よりしっかりとした花が咲くでしょう。

Den. Mellow Heart 'Yellow Mind'




Den. Mellow Heart 'Yellow Mind'



Den. Mellow Heart 'Yellow Mind'

咲き始めは薄いクリーム色で、全く違う印象です。色の変化も楽しめるでしょう。




メロウハート‘イエローマインド’に興味をお持ちの方はこちらをご覧ください。

2011/01/27

Den. Green Surprise 'Windy'
グリーンサプライズ‘ウインディー’

Den. Green Surprise 'Windy' BM/JGP   

(Den. Yellow Ribbon x Den. Santana) 2005年登録

グリーンサプライズ‘ウインディー’ (農林水産省 品種登録番号 16932

ノビルタイプデンドロビュームには今まで見られなかったグリーン系の色彩のデンドロビュームです。花弁全体が光沢あるグリーンの色彩で大変美しいデンドロビュームです。

Den. Green Surprise 'Windy'  


Den. Green Surprise 'Windy'  

イエローリボンを親に持つため、やや遅咲きの部類ですが、その年に完成したバルブにも見事に着花します。
草丈もよく伸びる品種です。間延びして節間が長くなると、花がまばらに見えるため、光線にしっかりと当てて、よく太った茎にしたいものです。


Den. Green Surprise 'Windy'  



世界らん展日本大賞2003ではベストデンドロビューム賞に輝きました。


Den. Green Surprise 'Windy'  

グリーンサプライズ‘ウインディー’に興味をお持ちの方はこちらをご覧ください。

http://item.rakuten.co.jp/dendro/510015/


2011/01/26

ラブメモリー‘フィズ’

1月以降のギフト向けのデンドロビューム鉢物商品を紹介します。

Den.Love Memory 'Fizz' (Den.White Rabbit x Den.Sachi) 、1999年登録
ラブメモリー‘フィズ’   (農林水産省 品種登録番号  12903






ラブメモリー‘フィズ’ 8.0号


ラブメモリー‘フィズ’ 6.5号






ラブメモリー‘フィズ’ 4.5号




弁先に鮮やかな紅紫色を彩る中輪品種です。
花付き、株立ちが極めてよく、またバルブの節間が短いため、花が密に咲いてたいへんにぎやかである。
性質強健で栽培が容易なため出荷のロスがないということで欧米の生産者からの圧倒的な支持を得ている品種です。




ラブメモリー‘フィズ’


趣味家向けの苗としても大変人気で、花付き良く、初心者の方でも失敗なく簡単に栽培できます。
趣味の方はこちらをご覧ください。
http://item.rakuten.co.jp/dendro/426895/



ギフト向けの鉢物は、1月下旬より出荷予定、3月下旬頃まで販売予定です。
鉢サイズは4.5号から6.5号まで用意しています。

詳しい出荷時期、価格、数量等、お問い合わせはこちらまで
info@dendrobium.net

2011/01/25

花が終わったら(デンドロビュームの花後の管理)

「デンドロビュームの花が終わったら、どうしたらいいですか?茎は切ってもいいですか?」
春までの間、一番多くお問合せいただく内容です。


お歳暮でもらったデンドロビュームの花を年末年始に十分に楽しんで、そろそろ花が終りに近づいた家庭もあるのではないでしょうか。
リビングや暖房の乾燥した風が当たるところではもっと早く終わっているかも知れません。


少し元気がなくなってきました


デンドロビュームの花が終わった後にするべき管理、作業を簡単にまとめてみます。


花が終わりに近づくと花弁が薄くなり、花弁の表面に脈が浮いてきます。
花弁が薄くなって萎れてきたら、終わった花を取り除いてやります。

よく見ると萎れてきています

枯れて、自然に落ちるまで放っておくのも良いですが、枯れ落ちた花をそのままにしておくと、カビが生えたり、葉に付着して、腐敗し病気の発生源にもなりかねません。



葉の上で腐敗して葉自体に病気がうつります

株元で放っておくとカビが生えてきます



シーマリー‘スノーキング’などは2ヶ月以上平気で咲いているので、枯れてしまうまで鑑賞すると株が弱ってしまいます。
もしも、その後もデンドロビュームを育ててみようと思っている方は、しばらく鉢花を楽しんで、十分お部屋飾りとして堪能したと思われたら、花が見苦しく、枯れ落ちる前に取ってやることも必要です。




その際、花茎の付け根からちぎるのではなく、花だけ取り除いてやります。




間違っても株元にハサミを入れて、茎全体を切り落とさぬようお願いします。2、3年は残しておいてください。
花が咲いて終わった後はついつい茎を切りたい衝動に駆られる人が多いようですが、古い茎には新芽に養分を供給するという重要な役割があります。この働きがあるから、デンドロビュームは少量の施肥だけで育てることができるのです。

ですから、花が終わったら花だけ摘み取り、茎(バルブ)は切り取らずに、2~3年は残しておきます。
山本デンドロビューム園では、古い茎を取り除く作業自体がありません。邪魔にならなければずっと付けていても平気なのです。


古い茎には新芽を伸ばす養分が


また、花後はすぐに植え替えをしたいという方も多いようなのですが、気温も低く、まだつぎの新芽が動く時期ではありません。
まずは、これまでの花を長持ちさせるための温度の低い場所から、日当たりの良い暖かい場所へ移動してやります。そして苗としての管理に移行します。


苗と同様に明るくて温かい場所に置きます


温かい場所へ移したことで、今までよりもよく乾くようであれば、水は少し増やしてやりますが、ギフトの鉢物などは大きな陶器鉢やプラスチック鉢の通気の良くない鉢に植えられている場合が殆どです。鉢を持ち上げてみて、水の含み具合を確かめるのもよいですし、可能であれば鉢を抜いて湿り具合を確認してもよいでしょう。根の張り具合がよくわかるため、春に植替えが必要かどうかの判断もこの時に確認することができます。

この冬に入手した新しい鉢物であれば、殆どの場合、あわてて春に植替えをする必要はないでしょう。




では、実際に鉢を見てみます。


鉢の表面には根がまわっていません


こちらの鉢は表面の様子からも植え替えの必要性は感じられません。



まだヤシガラと根が湿っています

抜いてみると、まだまだ根が伸びる余裕がありますので、今年の植え替えは必要ないでしょう。根が白く健全な状態です。
まだ根も水を含んでおり、植え込み材料も中心部分は湿っています。
この状態で中途半端な水やりを続けると、なかなか乾かず、根を痛めてしまうでしょう。
よく乾いてから水をやるようにします。




外に根が溢れているように見えますが

 こちらの鉢は表面に根がよく根が回っています。
一見、相当根が張っていて、この春に植え替えが必要かと思いきや、抜いてみると、意外に根の量は多くありません。
やはり、今年の植え替えは必要ないでしょう。


鉢底にかけて根の伸びるスペースは十分あります





肥料も暖かくなるまでは必要ありません。

しばらくは寒い日が続きますので、温度に注意して、苗としての管理へ意識を切り替えて栽培を続けていきましょう。


春先に入手したデンドロビュームの場合


デンドロビュームの開花時期は11月後半から遅いものは母の日までと半年近くあります。
つまり、年末の贈答シーズンに入手した鉢花と母の日に入手した鉢花とでは生育にも半年の差が現れます。
特に春先、3月以降に入手したデンドロビュームの鉢花については、花後の育苗期間があまり確保できません。
立派な新芽を伸ばし、翌年も同じような開花を目指すことはちょっと無理であることも理解しておきましょう。

いずれにしても、花が終わった後はなるべく早く苗の管理に移行してやります。

苗の管理は以下を参考になさってください。

デンドロビュームの月別管理

http://yamamotodendrobiums.blogspot.jp/p/blog-page_20.html



2011/01/24

播種から4ヶ月後の様子

デンドロビュームの播種から約4ヶ月経ちました。

12月23日の投稿では播種から3ヶ月経ったフラスコの様子を紹介しました。

これがその時の画像です。
新しい培地へ移植されたあと、さらに生育して、根、茎、葉がはっきりと区別できるようになってきた様子を紹介しました。


播種後3ヶ月たった様子


上の画像撮影時からさらに一ヶ月たった様子をご覧ください。
播種後からは約4ヶ月経過しています。


播種後4ヶ月たった様子


葉の数が増え、根も伸びて苗は一回り大きくなったようです。
まだまだ余裕があると思われたフラスコの中は、すし詰め状態になりました。


根も良く伸びています

 寒天培地に伸びた根をじっくり観察すると、根の周りにびっしりと毛根が確認出来ます。
湿度の高いフラスコの中で水分を多く含んだ培地に常に接触しているデンドロビュームの根には表皮から根毛が形成されます。



根の表面全体に根毛が見られる


この根毛は乾燥してくると枯死してすぐになくなるため、大きくなって水苔や、ヤシガラに植えられたデンドロビュームの根の表面では、白く見えるスポンジ状のべラーメン層で覆われて、普段は目にすることがありません。
しかし、根の先端の緑がかった半透明の根冠部分では細胞分裂が盛んで、根が伸び続けており、水分を多く含んだ鉢の中で根毛を確認することができます。



話はフラスコ苗に戻ります。
このままでは密集し過ぎで、培地の養分もなくなってきますので、再び一定の間隔を保って移植してやります。


新しい培地へ移植しました


随分とすっきりしました。

あとはフラスコから出せるサイズになるのを待つだけです。



小さいがしっかりした良い苗です

発芽以降、移植作業の連続で、大変な手間ですが、この作業を繰り返して しっかりした良い苗を作る必要があります。

今後も定期的に生育の様子を観察していきます。




趣味栽培の方にとってはデンドロビュームに限らず洋ランの発芽の様子や種子からの生育の様子を見る機会は殆ど無いと思います。
このブログではそのような育種の現場もみなさまに色々とご紹介していきたいと思います。

2011/01/23

RHSの登録結果(登録日2010/12/29)

少し遅れましたが昨年末に申請したRHSの登録結果です。
1月5日の投稿 RHSへの品種登録について で紹介した件です。


すぐに連絡が来て22品種がサンダース・リストに登録されました。




Asian Moon              Den. White Rabbit x Den. Oriental Smile 
Atlas                       Den. Star Glory x Den. Winter Smile         
Avalon                     Den. Grand Smile x Den. Winter Smile      
Bellini                      Den. Upin Red x Den. Sunny Gold              
Fairy Moon                Den. Cygnus x Den. Fancy Girl                   
Fancy Gold                Den. Oriental Magic x Den. Pittero Gold    
Fortune Bell              Den. Fortune x Den. Oriental Magic          
Jolie                        Den. Snow Peak x Den. Super Crown         
Libre                        Den. Yellow Ribbon x Den. Happyend    
Little Smile                Den. White Rabbit x Den. Matterhorn     
Lucky Love               Den. Fancy Glow x Den. Royal Pink       
Lucky Smile               Den. Lucky Red x Den. Grand Smile              
Mellow Gold               Den. Lovely Virgin x Den. Everest Gold    
Merry Heart               Den. White Rabbit x Den. Santana           
My Heart                  Den. Samson Toy x Den. Everest            
New Happiness           Den. Everest x Den. Happy Toy                
Oriental Sunrise          Den. Fancy Fly x Den. Oriental Smile             
Rainbow Smile            Den. Charm Grande x Den. Rainbow Heart  
Sea Dragon               Den. Sea Marian x Den. Comet King               
Sherry Smile              Den. Brilliant Smile x Den. Grand Smile      
Spring Beat               Den. Comet King x Den. Spring Dress        
Utahime                   Den. Utopia x Den. Maihime            



以上、ご報告でした。

2011/01/22

Den. nobile var. cooksonianum ノビル クックソニアナム

研究温室より原種デンドロビュームを紹介します。

Den. nobile var. cooksonianum
ノビル クックソニアナム

Den. nobile var. cooksonianum

ノビルはインド、中国南部に自生するデンドロビュームの原種で、 現在のノビル系改良種の先祖となっています。多くの交配種の親になったデンドロビュームの代表的な原種です。

この個体はそのノビルのペタルにリップと同様の大きな濃紫の模様が入る変種です。



Den. nobile var. cooksonianum

まるでリップの目玉模様のような大きな斑はとても不思議ですね。

ノビル同様、丈夫で育てやすく、寒さにも強いので初心者でも栽培は容易です。

リップの模様と間違えそうです


Den. nobile var. cooksonianum


Den. nobile var. cooksonianum に興味をお持ちの方はこちらをご覧ください。

2011/01/21

比べてみました

先日ご紹介した、Den.Permer 'Kobe' パーマー‘コーベ’ですが、投稿の中で説明したように、紅紫系4倍体デンドロビュームの祖先であることから、殆どの紅紫系品種をたどっていけば、Den.Permer 或いはDen.Permos (パーマーの改良種)に行き着きます。
以前紹介したRHSのページで試してみるといいですね。
RHSの登録品種を調べる その1


 品種改良を経て花が大きくなったり、丸弁に近くなったり、花つきが良くなったり、きれいな花色になるというのは皆様もはなんとなくおわかリになると思いますが、花型、花つき、花色だけが交配目標ではありません。

デンドロビュームにとっては、過去において洋ラン需要の多くが趣味者対象であった時代には、審査での受賞の対象となるような丸弁で大輪花の作出だけが育種改良の目標でありましたが、創業者の山本二郎は花卉産業の対象として将来の需要を見据えて、鑑賞価値が高いこと、市場への輸送に耐えられる強健な品種を想定し、更に草姿の改良、生産農家が栽培のしやすさといった点にも着目し、育種改良に力を入れて来ました。
 

 今回は、一般消費者向けの鉢物需要を見越した品種改良の成果がとっても分かりやすい開花株を見つけましたので、パーマー‘コーベ’と比べてみました。



Den. Angel Love 'Akiko'



Den. Angel Love 'Akiko'  エンジェルラブ‘アキコ’です。
交配親はDen. Wave KingとDen.Silky Whiteです。
それぞれの交配親を6代か7代ほど遡ると、どちらもDen.Permerにたどり着きます。


エンジェルラブ(左)とパーマー(右)


この二つを比べてみます。

いまいち正面の分かりにくいパーマー‘コーベ’と前後のはっきりしたエンジェルラブ ‘アキコ’。

節間が長く、花梗も長いため花がやや下へ垂れ気味のパーマー‘コーベ’と花が一方向へ向き、しっかりと上向きにせり出し、花全体が鑑賞しやすいエンジェルラブ ‘アキコ’。


左右に振り分けて咲いていますが、株の正面です




節数が約13節で上から5節に着花。全体の約3分の一にしか花が咲かないパーマー‘コーベ’は鉢物よりは切花に向いたデンドロビュームです。

エンジェルラブ‘アキコ’の方は約10節で上から6節に着花。全体の節数や着花している節の数はほとんど変わらないのですが、草丈や着花している位置を比べてください。
株元から着花させることでコンパクトな鉢物の仕立てが可能です。
また節間が狭いため、花が密集して開花しており、ボリューム感があります。

とても商品性が高く、テーブルを彩る鉢物としても最適です。
家庭で楽しむためには、あまり大きく伸びてしまう品種よりも、この程度の草丈で十分でしょう。
花数も申し分有りません。

完全な一方向咲きに改良されています




デンドロビュームは展開する葉の数だけ節が出来、ひとつの節に一つしか花芽がつきません。

株元から花が良く咲くということは、節数、草丈が少なくても花数が多いため、僅かな生育期間で栽培年数が少なくても商品になるということです。
または、節間を縮め、花つきにボリューム感が増したことは、たくさんの株を寄植えしなくても、少ない株で鉢物を仕立てることが出来るということです。
このことは営利的に見れば、デンドロ農家がコストを掛けず大量生産、早期の出荷が可能になったということです。
デンドロビュームを生産して市場へ送り出す生産者側の立場にたった育種改良でもあるわけです。


※今回、エンジェルラブ‘アキコ’を取り上げたのは、育種の方向性のひとつとしての一例の紹介であり、花型、花色、その他の要素すべてに当てはまるわけではありません。