8月になりました。
生育の最盛期を過ぎ、早いものは止め葉が確認できる株もあります。
バルブ(茎)も次第に太ってきて、デンドロビュームらしさがでてくる時期でしょう。
この時期は昼夜とも高温が続くため、生育のスピードは鈍くなっています。秋までにバルブ(茎)を充実させるため、高温と強光線に注意して暑い夏を乗り切りましょう。
置き場所について
7月と同様に戸外での栽培になります。厳しい暑さが続きますので、日中はなるべく涼しくなるように風通しの良い場所を選んで置くように心がけます。
コンクリートやアスファルトに近い場所は、照り返しや地面そのものが熱を持ち、想像以上の暑さです。植物とっては大きな負担になります。
夜間も涼しいほうが、株の充実に好影響を与えます。夕方、周囲に水を撒くなどの工夫で少しでも涼しくなるように気配りをしてやります。
光線について
デンドロビュームは光線を好む植物であり、また比較的光線に強い植物ではありますが、ちょっとした条件の違い、またはちょっとした油断で、葉焼けや高温障害につながります。
水を切らしたり、無風状態が続いたりするようなことには十分注意します。
健全な生育のためには7月、8月の気温の高い期間は遮光ネット或いは寒冷紗などを利用し、直射光線を避けてやります。
戸外では必ず遮光をしてやります |
水やりについて
年間を通して最も水を必要とする時期です。
高温期でよく乾燥することに加えて、止め葉も出はじめ、バルブ(茎)の充実も始まるころです。
デンドロビュームの生長の妨げにならないよう水やりはたっぷりと行います。
ただし、日中の暑い時間帯の水やりは、葉先に溜まった水が高温になって株を傷めたり、鉢やポットの中の水が煮えたようになり根を痛め、根の伸張を止める原因になりますので注意します。
朝やっても乾きが早すぎて水やりの効果がないと感じられる場合は、朝よりも夕方の涼しい時間帯に行なうと夜間の周囲の気温も同時に下げることが出来、効果的です。
朝夕の2回行うのも有効ですが、鉢の中に古い水が滞留するような中途半端な水やりは、根を腐らせる原因になります。水やりは鉢底から抜けるようにタップリと施します。
生育期のバックバルブの皺は心配ありません |
しっかり水をやる方法として汲み置きしたバケツなどにつけ込んで、しばらく置いておくような記述も見られますが、複数の株を同じバケツに続けてつける行為はウイルスや病気を蔓延させる原因になりかねませんので注意します。
肥料について
開花予定株には必要ありません。鉢の中に固形肥料の塊が残っている場合には速やかに取り除きます。
あまりにも茎葉が濃く葉が大きく垂れ下がっているような場合には光線不足だけでなく、窒素過多の恐れがあります。デンドロビュームは生育の中期以降に窒素 成分を多く含んだ肥料を与えすぎると花芽分化が妨げられ、せっかく生長した茎に花が付かず、高芽ばかりが出ることになります。
開花株の場合、秋になってやや茎葉が色褪せているくらいの方が花はよく咲きます。
万一、現在の茎葉の色が濃すぎて窒素過多が不安な場合は第一リン酸カリの1000~2000倍液を施すのも有効です。
茎や葉の色が淡くなり窒素過多の現象が解消され、正常な生育へ戻すことができるでしょう。
第一リン酸カリは「ホスポン」という商品名で園芸店やホームセンター等で販売されています。
http://item.rakuten.co.jp/dendro/10000578/
※少苗、中苗など開花させる予定がない場合施肥を継続しても大丈夫です。
病害虫について
戸外での管理が中心ですのでハダニ、カイガラムシ、ヨトウムシ、ナメクジなど葉や茎を狙うすべての害虫に気をつけます。
被害が出てからの対処では、すでに葉や茎を痛めてしまっている場合がほとんどです。
時折葉の裏や株元、鉢底をチェックするなどして早期発見に努めます。
ヨトウムシの食害 |
ダニの発生した葉の裏 |
葉の病気では高温により植物が弱っていることが原因で発生する場合がほとんどです。
快適な栽培環境を整えることで病気の発生を防いでやりましょう。
炭そ病の症状が確認できる葉 |
高温障害や葉焼けなどにより植物の活性が低下している場合にによく見られるのが炭そ病です。
ダイセン、ダイファー、トップジンMなど有効な殺菌剤がありますが、発生した葉は元には戻りません。症状がひどければ落葉してしまいます。
病害虫への対処はこちらのページを参考にしてください。
デンドロビュームの病害虫に関する参考記事
https://yamamotodendrobiums.blogspot.com/p/blog-page_3.html植え替え
8月以降の植え替えは温室などをお持ちの場合以外は、なるべく避けたいものです。
生育期を過ぎると、秋から冬にかけては根の動きも鈍り、植え替えをしても新しい植え込み材料に根が張っていきません。根張りの悪い株は冬場に水やりの失敗をしたり、その結果、根を痛めて開花時に良い花が咲かなかったりします。
温室をお持ちで温度を高めに管理できる場合を除いて、次の春まで待ったほうが無難でしょう。
その他
株の生育にしたがって、大きく伸びたバルブ(茎)は傾いたり、中には大きく曲がってしまうものもあります。そのままでは開花時の見栄えが良くありません。バルブ(茎)が太ってしまうとまっすぐに戻すことが困難になりますので、早期に支柱立てをしてやります。