2011/02/26

お届け後の葉の黄変、落葉

デンドロビュームの苗が届いた後での問い合わせに多いのが、「買ったばかりなのに、葉が黄色くなってきたけれども大丈夫ですか?」と言う内容のものです。


この問い合わせが多いのは、秋から冬の間のことですが、ほとんどの方の場合、よく話を聞いてみると、届いた苗が10日ほどしてくると下の方から黄色くなって落葉すると言う内容です。



この場合、葉が黄変しているバルブはいずれも既に完成、充実した茎(バルブ)であることが殆どです。
ノビルタイプのデンドロビュームは本来、落葉性の植物であり、茎(バルブ)が完成し、葉の役目が終わりに近付くと、活性が下がり落葉も近くなります。
このブログでも以前に気温が下がる秋ごろからの落葉について解説しています。





山本デンドロビューム園で管理されている温室栽培の苗は、真冬であっても、夜間の最低温度が18℃です。
日中も25度以上の環境で、湿度も保たれた環境で栽培されています。
届いた苗がまもなく黄変するのは、多くの場合、そういう状態の苗が一般家庭に移り、環境が変わったことで、一気に落葉が促進されたと考えるのが一般的でしょう。
さらに、室内で暖房器具の乾燥した空気にさらされたりと、湿度も違いますので、葉からの水の蒸散を防ぐため自ら落葉することもあります。


生理現象により落ちた葉は斑点もなくきれいな色をしています。
※落ちた葉を株元に放っておくと、カビが生え病気を発生するため早めに取り除いてください。

デンドロビュームがバルブの完成後に葉を落とす原因は、葉の病気や水のやり過ぎで根を傷めたのでなければ、通常の生理現象と考えてさしつかえありません。


実際に温室から温度の低い部屋へ移動して、試してみましたのでご覧ください。

実験に使用したのは、花を一節だけつけた新芽も伸び、株立ちの良いスーパーモデル‘プラチナ’の苗と、新芽は出ていないが、たくさん花をつけた、スプリングドリーム‘クミコ’の苗です。‘いずれの株も葉が見えやすいように後ろから撮影しています。

 スーパーモデル‘プラチナ’の苗は新芽が2本も出て葉のついた茎(バルブ)が2本立っています。
スーパーモデル‘プラチナ’
 スプリングドリーム‘クミコ’の苗は見えにくいですが、花と蕾が着花、株元には古い短い茎のみで新芽が出ていません。

スプリングドリーム‘クミコ
置き場所は事務所の窓辺で夜間は10度を下回るのではないでしょうか。日中はエアコンの風が直接当たらない場所ではありますが、乾燥して、デンドロビュームの管理には良い場所ではありません。




4日目あたりからスーパーモデル‘プラチナ’の葉の一部に黄変が見られます。
左下の一枚の葉です。
スプリングドリーム‘クミコ’には変化が見られませんでした。

4日目のスーパーモデル‘プラチナ’


1週間目には葉の表面の半分以上が黄色くなってきました。

1週間目のスーパーモデル‘プラチナ’




10日目にはすべてが黄色くなり、まもなく落葉しそうです。
同様に10日経過したスプリングドリーム‘クミコ’には、相変わらず変化がなく、変化といえば、下の画像のように、10日前につぼみだった株元の2輪がきれいに咲いていたことです。

10日目のスーパーモデル‘プラチナ’

10日目のスプリングドリーム‘クミコ
全く変化はありません



結果として、スプリングドリーム‘クミコ’には全く黄変が見られませんでしたが、スーパーモデル‘プラチナ’には明らかな変化がありました。
環境の変化により黄変したものと、判断されます。

では、なぜスーパーモデル‘プラチナ’にはすぐに変化があり、スプリングドリーム‘クミコ’には変化が見られなかったのでしょうか

これはスーパーモデル‘プラチナ’の苗の株元の画像です。



黄変が見られたのは新芽からかぞえて2作前の古い茎です。
現在伸びている新芽が、昨年末頃より伸びて来たことを考えると、黄変が見られる茎は、昨年の春よりずっと以前に伸びて完成した茎であることがわかります。

このことから、落葉が起きやすい茎の葉は、既に充実し、その役割を終えていると考えられます。
この生理現象による落葉の場合、葉が落ちても既に、次の新しいバルブが出来ている場合が多 く、生育に影響しない場合が多いのですが、これは決して偶然ではなく、落葉の条件は単純な茎(バルブ)の充実に応じたものではなく、新しい茎(バルブ)が伸びて、 充実し、根が張り、植物として成熟しているかどうかも、影響していると考えられます。


スプリングドリーム‘クミコ’の苗も花が沢山咲くほどですから、株の充実は明らかですが、葉を落とさない理由は、新芽のまだ出ていない花付き苗にとっては落葉はまだ早すぎるのだと考えられないでしょうか。

株元には新芽がまだ見当たらりません


実際に画像で黄変する部位を見てみると、温度や湿度の環境に影響されているだけでなく、根張り、株立ちも植物自身が認識した上で、葉の枚数を植物自らが調整しているようにも思えます。





もしも、デンドロビュームの葉が黄色くなってきた時はすぐに病気と判断せず、慌てずに、栽培環境、黄変部位、葉の症状を観察してみてください。



0 件のコメント:

コメントを投稿