2011/02/15

開花時の環境に注意します

外はまだまだ寒い日が続きますが、もう既にデンドロビュームがご自宅で開花している写真などお知らせいただくことが多くなりました。
慣れた方、ベテラン趣味家の方はうまく温度管理をして、ご自宅で咲かせていらっしゃるようです。

このブログではデンドロ栽培初心者の方向けのアドバイスとして、冬も無加温で構いませんとお伝えしていますので、まだまだ開花はずっと先である方も多くいらっしゃると思います。

始めての方は早く花を見たいがために、ついつい室温を高く管理して失敗をされることもあるようです。
それには、つぼみや花芽が黄変したりの目に見える失敗があります。

これは健全なつぼみです。きれいな緑色をしています。


そして、黄変したつぼみです。すでに組織はだめになっているようです。開花は見込めません。
これは極度の乾燥や強光線など環境の変化により起こりやすい症状です。






しかし、失敗はそれだけではありません。
毎年咲かせているからと自信をお持ちの方の中にもお気づきになっていない失敗もあります。

それは、花の大きさ、色彩についてです。
室温を高くすればつぼみの進行も早いですが、温室のように適度な湿度を保つことができず、また昼夜を通して、安定した温度での管理が難しいため、本来の花の大きさ、本来の花の色で咲いていない場合が多く見られます。


鉢物を店頭で購入した時と同じ花が咲いていますか?
苗で購入しては見たけれども、見本写真と違う花になっていませんか?

時折、拝見するデンドロビュームの開花写真は本来の花とは言えないような開花をしたものも少なくありません。

以下の写真は、どちらもカントリーガール‘ワラベウタ’です。


右は開花温室で通常開花したもの。
左はエアコンによる乾燥した風がよく当たる室内で試験的に開花させたものです。
人間が出入りするため日中、夜間もエアコンが運転中で室内は乾燥気味、温度も昼夜とも高めで、人間がいなくなると一気に室温が下がるといった極端な温度での開花になります。



光沢があり大きく展開した右の花と比べて左の花はどうでしょう。
全く別の花かと思うくらいの色の薄い花弁と花径の小さな花は美しいカントリーガール‘ワラベウタ’とは思えません。
花弁の厚みも違い、両者の花保ちは大きく差が出ることでしょう。

上から見比べてみても一目瞭然です。
小花柄にまで色濃く花色がでている右の花と薄く白っぽい左の花。
花柄の長さも違うため、開花時のボリュームも全く違うものになるでしょう。


このように開花時の重要な時期を 無理な温度で開花させてしまうと、本来の大きさ、色彩で咲かないことがお分かりいただけるでしょう。

早く咲かせようと温度を上げれば上げるほど、湿度は低くなり、乾燥し、無理をして咲かせると花弁の貧弱な花になり、花保ちも悪く、何も良いことはありません。
また、つぼみが大きく膨らみかけた頃は、窓辺の強光線や高温になりすぎないよう、注意も必要です。


一度、開花時の環境を見なおしてみるとよいでしょう。
ちょっとした注意だけで、良い花を咲かせることが出来ます。