一般に茎が充分に完成した株は、夜間の最低気温14℃以下の低温に合計の回数が25回くらい当たると、花が咲く準備ができます。
しかし、この温度で管理するためには関東以西の平地であれば10月下旬頃まで待つ必要があります。
このため、標高の高い山間部で通常よりも早く低温処理をして花芽分化を促すため8月後半頃より、山上げ栽培を行います。
山本デンドロビューム園では8月下旬より山上げ作業が本格的に始まりました。
まずは3箇所ある山上げ場の一つ、鳥取県と兵庫県の県境にある標高1310mの山、扇ノ山まで山本デンドロビューム園のある岡山市内から4時間近くかけて山上げに向かいます。
なるべくたくさんの鉢を輸送できるよう高さを揃えて積み込みます |
山上げ当日は早朝より出発のため前日からデンドロビュームの鉢物をトラックに積み込みます。
トラックを満車にするにも大変時間のかかる作業です。
山頂付近からは鳥取市内、そして日本海が見下ろせる絶景 |
県境を越えて鳥取へ入り、やっとのことで扇ノ山の麓まで辿りつくと、そこから先は急勾配の山道を延々と登ることになります。
途中、木々の隙間から時折、美しい景色が飛び込んできますが、既にここまで3時間以上の道のりを運転している者にはかなりこたえます。
景色を楽しむどころではありません。
簡易ハウスの棚にデンドロビュームを降ろします |
到着後早速、遮光ネットが張られただけの簡易ハウスの中へデンドロビュームを降ろしていきます。
全て陶器鉢に植えられているため、複数のデンドロビュームの鉢が入ったケースは大変重く、積み下ろしはとても体力の必要な作業です。
しかも作業はこの1回だけではなく、年末の開花予定のデンドロビュームが全て山上げできるまで、このトラックでの往復を何日も繰り返すのです。
整然と並んだデンドロビュームの鉢 |
天候も変わりやすく突然の雨に襲われることもあります。雷がとても近くで鳴り響くため危険な作業でもあります。
山上げされる鉢は小鉢から大鉢サイズまで様々 |
ここで充分な回数の低温に当ててやります。
1ヶ月後には再びトラックに積み込んで岡山の温室まで移動しなければなりません。
そして温室で50日から60日程加温栽培した後にようやく開花となります。
年内にデンドロビュームの花を楽しんでいただくためにはこのような大変な苦労もあるのです。