先日、このような問い合わせをメールでいただきました。
よく尋ねてみると、デンドロビュームの葉の裏の付け根にカビが生えたように黒いスス状になっているとのこと。
これは「スス病」といいます。
デンドロビュームは生育期に葉の裏側の付け根部分から蜜のような粘液が分泌されることがあり、ここにスス病が発生しやすくなります。
生育旺盛なこの時期、とくに生育が良好な場合に蜜が分泌しやすく、高温多湿な条件と重なってカビが繁殖しやすくなります。
蜜が分泌し易い葉の付け根部分に黒く見えるのはスス病の原因となるカビ |
広範囲に見えるがカビの表面は既に乾燥してひび割れが見える |
上の2枚の写真はいずれもデンドロビュームが分泌する蜜に発生したものです。
防除としては一般的な殺菌剤で発生を抑えることはできますが、スス病自体はデンドロビュームに影響を及ぼすことはありませんので、放置しておいても構いません。
山本デンドロビューム園の温室での作業においてもスス病の予防等の作業はありません。
とくに植物に影響がないことから、一般家庭での管理では発生を確認したら、湿らせたティッシュペーパーで拭きとってやる程度で良いと思われます。
2枚目の画像の葉を湿らせたティッシュで拭きとったもの |
ただし、スス病の原因が蜜そのものではなくこの蜜に集まるカイガラムシやダニ、アブラムシの糞によると思われるときはこの害虫を駆除することが必要です。 放っておくと、食害が進み、植物自体を弱らせることになります。その場合は、葉の基部だけでなく、花や花茎、つぼみなどで発生することもあります。
スス病を発見したら、まずその原因が害虫によるものかどうかを確認します。
仮に害虫が原因とすればまずその害虫の駆除に努めることが重要です。
また、ほとんどが葉の裏の付け根に発生するのですが、稀に葉の表全体に広がることもあります。
この場合は葉の同化作用が阻害されますので落葉等の原因になり、植物を弱らせることになりますので、速やかに拭きとってやりましょう。
ご自宅のデンドロビュームの葉の裏も観察してみてください。