2011/12/28

品種特性を調べています

年末の大きな出荷が終わりましたが、次の開花までほっと息をつく余裕さえもなく、デンドロビュームに関わる仕事は続きます。


写真は、花をバラバラにして遊んでいるのではありません。
今季咲いてきた新品種の特性をチェックしているところです。



この新しく増えた新品種はすぐに販売されるわけではなく、花保ちの試験や商品性を確認するなどのさまざまな試験を試みます。
さらに農林水産省へ品種登録する際に必要になる品種特性を予め調べておくことで、その後の登録作業をスムーズにします。




品種登録をするためには花型を詳細に調べ、サイズ、色彩、形状を細かく記録する必要があるのです。※農林水産省への品種登録制度の詳細については別の機会に説明したいと思います。


最近でこそ調査内容は緩和されましたが、随分と細かい部分まで調査する必要があり、花びらの横断面の角度が内向きか外向きかとか、外縁の波打の程度まで記載しなければなりません。



リップの表面に毛があるかどうかなんてことまでも調べるのです。




デンドロビュームは新品種作出のために新しい交配がなされたあと、種から4年から5年かけて初花が咲きますが、その時に製品化すべく選抜された花は世界にたった一株のオリジナルです。
しかし、いくら良い花が咲いたと言っても、たった一株では皆様に楽しんでいただくことができません。

そこでメリクロンという方法で遺伝的に全く同じ性質の植物を大量に増殖するのです。
挿し木繁殖や高芽を取ったり、株分けからも同じ性質の株は増やすことができますが、鉢物商品として流通するほどに増やそうとすると、気が遠くなる程の年月がかかってしまいます。

このメリクロンという方法でさえ、苗が実際に増えてから花が咲くまでには最短でも3年はかかります。 新品種として皆様にご紹介、販売するまでには少なくとも10年の歳月がかかっているのです。


今調査を行なっている品種でさえ、この後試験栽培を繰り返し、栽培結果によっては世に出ること無く消えて行く運命にあるかもしれません。
 

一つの品種を確立するためには随分と長い年月が必要なのです。