今回は成虫の蛾について話をします。
岡山の山本デンドロビューム園の農場で見かけるのは主にハスモンヨトウです。
デンドロビュームの葉にとまるハスモンヨトウ |
今年は8月上旬あたりから温室内を飛びまわるのを見かけるようになりました。
例年よりもハスモンヨトウの発生が多いような気がします。
夏場は温室を全開放することが多いため、この時期の成虫の発生は外部からの侵入が大半なのです。
放っておくとメスが温室内に卵を産んでヨトウムシが大発生してしまいます。
皆様のデンドロビュームの栽培環境でも周囲に畑や草花、ガーデニングをされている場合は周囲から飛来してくる可能性は十分考えられます。
成虫の蛾を見つけたら、産卵、幼虫の発生の可能性も心配したほうが良いでしょう。
さて、温室内でハスモンヨトウが多数飛ぶのを確認しましたので成虫の段階で駆除する必要があります。
温室内には電撃殺虫器を設置してあります。
蛾の仲間だけでなくコガネムシ類も駆除できます |
虫の好む青い蛍光灯でハスモンヨトウを含め蛾の仲間を誘引して高電圧で感電死させます。
蛾以外でもコガネムシなども光に誘引されますので同時に駆除できます。
よくコンビニの入り口とかに設置してあるものと同じですね。
またハスモンヨトウについては、合成フェロモンが市販されていますのでトラップを仕掛けてやります。
メスのフェロモンでオスのハスモンヨトウをおびき寄せ、捕獲します。オスが減り、メスだけになれば繁殖できなくなります。産卵数を減らすことができます。
ただし、これは他の種類の蛾には効果はありません。
ひとつの容器に一晩で30匹ほど捕獲することもあります |
このように様々な方法で成虫の個体数を減少させて、ヨトウムシの発生を抑えています。
それでも葉の裏や温室の天井等に産卵するものもあります。天井で孵化した幼虫は糸を出して降りてきてデンドロビュームの葉を食べるのです。
こうなると、イタチごっこで前回の幼虫の駆除対策に戻ってしまいます。
温室やビニールハウスのように年中温度が保たれていれば、ヨトウムシを見逃して40日も経てば再び成虫へと羽化し、このサイクルを繰り返すことになります。
電撃殺虫器に産み付けられたハスモンヨトウの卵 |
開花時期にはやわらかい蕾や花を好んで食べるため 、出荷前のデンドロビュームが食害を受けるなど大変な被害になることもあります。
これから開花シーズンに向けて温室内で繁殖させないよう一番注意が必要な害虫なのです。
皆様も大事な新芽や蕾を食べられないようにご注意ください。