夏の間伸びた茎がより充実してくるのもこれからです。
残暑が厳しいですが、これから朝夕涼しくなり気候が徐々に快適になってデンドロビュームの生育がより進むと思われます。
株元から茎が充実してきます |
温室栽培のデンドロビュームは既に止め葉も出て茎が充実してきました。
温室のない一般家庭での栽培ではここまでの生育は必要ありませんが、止め葉が出てきたり、株元から徐々に茎が太って来る頃です。
はち切れんばかりに見事に充実しています |
この時期、葉の色の濃さはさほど気にする必要はありませんが、青々としてあまりに色の濃い場合や大きく垂れ下がっている場合、茎がひょろひょろと細く、徒長している場合は窒素過多や光線不足に対する注意が必要です。
※徒長とは茎や葉が窒素過多や光線不足で軟弱化することで、デンドロビュームの場合は節間が間延びしたり葉が大きく垂れ下がる症状が見られます。
葉の色が濃い上に茎の充実不足が伺える |
葉が大きく垂れ下がり茎が葉鞘で完全に覆われています。充実不足であることがわかります。
色も濃く窒素過多の症状もみられます。
茎が葉鞘で覆われている様子 |
この状態では来春に良い花を咲かせる事ができません。
茎の太さに対してやたらと葉が大きい |
窒素過多になると葉の色は濃い緑で徒長し軟弱化するため耐病性も低下します。
特に心配されるのがデンドロビュームは生育中期以降に窒素成分を含んだ肥料を与えた場合、花芽分化が妨げられ、花がつかなくなります。また高芽になる恐れもあります。
光線不足の場合も同様で、光合成を阻害して生育を鈍らせることで徒長や茎の軟弱化を引き起こします。
対策としては
- しっかりと光線に当てて窒素過多や光線不足を緩和させること。(まだ日差しが強いので葉焼けに注意が必要です。)
- 開花サイズの株には窒素分を含んだ肥料をやらないこと。(もしも株元に油かすなどの固形肥料が残っている場合は取り除く。)
- 第一リン酸カリの1000~2000倍液の施肥で窒素過多を緩和させる。
などが考えられます。
ご自宅のデンドロビュームが窒素過多や光線不足の症状に当てはまるようでしたら、光線に当てることや肥料を打ち切ることはすぐに対応可能ですので早速やってみてください。ただし、葉焼けや高温障害には注意してください。
最後の第一リン酸カリですが、あまりに色の濃い場合や大きく垂れ下がった葉が気になるようでしたら、第一リン酸カリの1000~2000倍液を9月中に1~2回施すのも有効です。
茎や葉の色が淡くなり窒素過多の現象が解消され、花芽分化にも効果があります。
第一リン酸カリは「ホスポン」という商品名で園芸店やホームセンター等で販売されています。
こちらでも購入できます。
http://item.rakuten.co.jp/dendro/10000578/
※重要なこと
たくさんやれば花がよく付くという意味でなく窒素-リン酸-カリのバランス調整と考えるのが望ましいでしょう。茎が良く充実し太った株には無理に施肥する必要はありません
たくさんやれば花がよく付くという意味でなく窒素-リン酸-カリのバランス調整と考えるのが望ましいでしょう。茎が良く充実し太った株には無理に施肥する必要はありません
花は肥料や水やりで咲かせるわけではありません。安易に肥料に頼る前に適切な管理でバランスの取れた株に仕立ててやることがとても重要です。
その植物の性質を理解して 適切な栽培管理の結果、良く充実した株、しっかり根の張った株には良い花が沢山咲いてくれますのでその点を忘れないようにしたいですね。
ちょっとしたコツでデンドロビュームは立派な花を咲かせてくれます。