実際にデンドロビュームに限らず洋ランの名称は分かりにくいと思われている方も多いのではないでしょうか。
当ブログでもRHSに登録された品種名称と農林水産省に登録されている名称の違いで、紛らわしい品種をご紹介するたびに、別の機会にご説明しますとお伝えしてきました。
実は昨年9月にRHSへ申請をした登録用紙が現地に届いておらず、日本郵便に調査を依頼していたのですが、紛失したかと諦め、再度書類をつくり直そうかと思った矢先、送った書類が配達されず、年の暮れも押し迫った12月23日に戻って来る出来事がありました。
ロイヤルメールのラベルにはnot called forと書かれていましたが・・・・ |
封筒には「We were unable to deliver this item because not called for」の文字が。
「配達時に不在で、連絡もないので届けられなかった」と言う意味と思われますが、本当だろうかと思わず疑ってしまいました。
実に3ヶ月ほどイギリス国内にあったようです。ヨレヨレの封筒でしたが中身は問題ないようです。急いで即日、EMS(国際スピード郵便)で再送しました。初めからこっちで送ればば良かったと反省。
ちょっとヨレヨレですが書類は無事でした |
この機会にRHS(Royal Horticultural Society:英国王立園芸協会)の品種登録について簡単に説明してみます。
詳しい歴史や活動内容についてはウィキペディア等でお調べいただくとして、ここでは洋ランに関する品種の登録についてのみ説明します。
ラン科植物においては初めての交配によって、その交配から花を咲かせた人は国際的なルールに従って命名登録する権利を持っています。つまり、新しく作出した新品種のための登録制度です。
このランの交配種を登録・記録する国際的な機関がRHS(英国王立園芸協会)であります。
ここで登録・記録したものをまとめたものが皆様よく耳にされると思いますが、『サンダース・リスト』と呼ばれるものです。
1852年にランの人工交配が初めて成功して以来、園芸品種としてのランの交配が正確に記録し、残されています。現在まで、すべてのランの交配種が登録されており、このリストに登録された名前は全世界で通用します。
品種改良のために、新たに交配をした場合、その交配親(組み合わせ)による交配が『サンダース・リスト』に登録されていなければ、新たに登録する必要があります。
それを登録することによって、この交配による交配名が国際的に認められます。
その後、同一の交配がなされても、すべてこの交配名が適応されるのです。
育種を続けていく上では最初の交配種が登録されていなければ、次の交配種を登録することが出来ず、そのような場合は、交配親を遡って順を追って登録をしていくことになります。
また、その交配親が不明な場合はいくら良い花であっても登録することは出来ないのです。
育種をする者にとっては、素性の分からない株の存在はあってはならないことなのです。
RHSへの登録に最低限必要なのは、以下のものです。
- 交配名(新しく名づけようとする交配種の名前)
- 両交配名(交配親に使った株の交配名)
- 登録者(交配をした人)
- 交配年月日(交配をした日)
- 開花年月日(初花を確認した日)
- ポジフィルムまたはプリント写真(最近はデジカメでの記録が多いのでプリント写真が多いです。)
これをもって、申請することでRHSに正式に受理されれば、正式に交配名として認められます。
以前は受理の連絡も封書で送られてきたのですが、現在は時代の流れか経費節減のためかわかりませんが、Eメールで結果が連絡されてきます。
以上が『サンダース・リスト』に新しく作出した品種を登録させるためのRHSへの申請の簡単な流れです。
農林水産省の品種登録制度については別の投稿でご説明します。