2011/07/22

バルブが萎びて戻らない

お客様からデンドロビュームのバルブが萎びて元に戻らないというメールをいただきました。

メール添付の写真と内容からすると萎びているのはバックバルブのようです。

ベテランの趣味家の方ならピンと来るでしょう。
この時期のバックバルブは皺が出るのは珍しいことではありません。特に新芽が勢い良く伸びつつある株にあっては、新芽の生長に養分、水分を取られ、なおかつ夏の乾燥でバックバルブは皺苦茶(しわくちゃ)になります。


こちらは弊社で用意した似たような症状の参考写真です。


7月、8月は良く乾き、デンドロビュームも大量に水分を必要としています。しかも新芽が伸び、充実する生育期と重なり、いくら水をしっかりやっていてもバックバルブに多少の皺が出ることはあります。
新芽の大きさ、勢いを見る限り、水が不足している訳ではなく、むしろ健全な生育状態と言えます。



確かに春までは瑞々しくく太っていたバルブですから、心配されると思いますが、 秋になり、新芽に止め葉が出る頃には元通りになりますのでご安心ください。




水をやっているのにもかかわらずバルブに皺が出て戻らないので驚かれたのだと思います。



試しに3週間ほど水やりをストップした乾燥させた株を見てみましょう。高温乾燥と、新芽へ養分供給でバックバルブはペチャンコです。さらに水は不足気味で新芽も皺が出てバルブが痩せて折れ曲がっています。

3週間ほど水を切ってみました。


ここまで痩せ細ると本当に元に戻るかどうか心配になられると思います。

では鉢の中はどうでしょうか。鉢の中は真っ白のきれいな根のままです。水さえやればすぐに水を吸い上げ、しぼんだバルブも元に戻ります。 
鉢の中では根がいつ水を貰っても良いように、少しずつ根を鉢の中に張りめぐらせています。

根は白く健全です

デンドロビュームの原産地においては雨季と乾季が繰り返されます。乾季には一ヶ月以上雨が降らないことは珍しくなく、そのような環境においてもデンドロビュームは枯れること無く生き続け、雨さえ降れば痩せたバルブはもとに戻るのです。たとえ僅かな雨であっても、乾季の間にしっかりと張りめぐらせた長い根で無駄なく吸い上げるのです。


デンドロビュームの生命力には驚かされますね。この様子を見れば少しは安心出来るのではないでしょうか?





趣味栽培で楽しむのが目的ですから、ストレスのないスムーズな生育、管理をしてやったほうが良いので、このような過酷な状況に置く必要はありません。
しかし、デンドロビューム本来の性質を理解することで、栽培管理にも余裕で対処できるようになるでしょう。