2011/07/14

メルラン ‘シンジュク’

 昭和初期に作出された貴重なデンドロビュームを紹介します。

 1926年、イギリス人のHorridge氏によって、発表された有名なメルランです。これはその交配の中から当時新宿御苑が選抜して個体名を‘新宿’として売りだしたものです。

※新宿御苑は当時、日本ではじめて温室を用いたランの栽培を行ったり、園芸植物の輸入や民間への技術の普及にも力を入れていました。


Den. Merlin 'Shinjuku'

(Den. nobile x Den. Queen of Gatton) 1926年 Horridge RHS登録

メルラン ‘シンジュク’

Den. Merlin 'Shinjuku'





以下の品種説明は昭和44年発行の「総合種苗ガイド 洋ラン編」の記載から

新宿御苑が選抜した銘花。昭和の初期のラン愛好家にとっては垂涎の的。濃ピンク、リップが大きく、赤褐色の目の周りをコロナ状に彩る美しい巨大輪の銘花。


 


弊園では50年以上前から自社カタログでDen. Merlin 'Shinjuku'を取り扱っていました。
写真は1968年発行の弊社カタログですが、この当時すでに在来品種扱いでした。
赤線部分をご覧ください。

1968年発行の弊社カタログ





Den. Merlin 'Shinjuku'


咲き方もうつむき加減で、観賞価値は決して高くはありませんが、これが当時の最先端の交配だったのです。



今の品種とは比べるまでもありませんが、80年前の愛好家を驚かせたこのデンドロビュームは現在の紅紫系デンドロビュームの基礎となった重要な品種とも言えます。


メルランに興味をお持ちの方はこちらをご覧ください。